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太宰治『晩年』

晩年

毎年、夏になると各出版社で本を売り出そうと芸能人や文化人オススメの本を紹介することがある。新潮文庫の100冊という企画で、爆笑問題の太田光が太宰治『晩年』について、お気に入りの1行を紹介している。

「死のうと思っていた」
これが太田の1行。「晩年」は、太宰の処女作であり、短編集である。中でも有名なのが、「葉」と題された短編で、その書き出しがこれ。

「えらばれてあることの
恍惚こうこつと不安と
二つわれにあり
         ヴェルレエヌ

 死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目しまめが織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。」

この冒頭は有名である。太宰の小説は、その1行目から読者をグッとひきつける何かがあると内田樹氏が以前語っていた。「死のうと思っていた」この書き出しは確かにすごい。アクセルの加速度が違う、そんな感じがする。

実は、私が好きな1行は終盤にある。物語の最後はこう締めくくられる。

生活。

 よい仕事をしたあとで
 一杯のお茶をすする
 お茶のあぶくに
 きれいな私の顔が
 いくつもいくつも
 うつっているのさ

 どうにか、なる。


太宰治は暗い人。そういうイメージが強い。しかし太宰は本当は強く、楽しい人だったのではないか。もっと言えば、人を楽しませるのが好きな人だったのではないか。作品を少しでも読んだことのある人はそう思うはずだ。この1行には、太宰のそうした1面がにじみ出ていると思う。
毎日、日々を一生懸命生きていこうとする太宰の姿が見えてこないだろうか。私自身、この言葉にかなり勇気をもらったことがある。どうにか、なる。こう書くと本当にどうにかなる、そんな気がしてくるから不思議だ。
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