『俺俺』を読む

最近映画化されるというので、書店の目立つところに置かれていた。

読み終わった感想は、これは怖い小説だということである。
『俺俺』が発表されたのは2010年のこと。今から3年ほど前。だが、小説の内容は今を予言しているかのように見える。

人は、演じることで役割を獲得する。しかし、演じることは疲れることだ。すべての人が俺だったらいいな…そんな気持ちを持ってしまう。それが一気に固まると全体主義になる。
その結論を描いているお話。今の日本も橋下さんのような独裁者を求める風潮がある。


人は不安になる。演じるている私が本当の自己なのか、演じる外部にある私が本当の自己なのか?と。

今の社会はこの問い自体を解体してしまう。なぜなら、現代社会は演じることの基盤を失わせる社会だからである。現代社会は、個に代替可能性を突きつける。派遣労働者は、そこの派遣さんだ。

また、社会の流動性が高くなり、これまで自明だった家族や地域社会といった共同体が解体しつつある。

演じることの基盤さえ失っている人も多いのが現状なのだ。

本当の自分を認めてほしい、でも演じたくない。これはだれもが持つ気持ち。

『すべての人が同じになってしまったら自分の意味がなくなる』との言葉が印象に残った。
つまり、人は絶対的に孤独だということ。そこを認めることからすべてがスタートする。その中で、共有できることを少しずつもっていけばいい。そう教えてくれる小説だ。


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