『アルジャーノンに花束を』を読む

友達からのススメで『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス著)を読む。
久しぶりに本当にいい小説に出会った感じがする。それくらいいい小説だ。

32歳になっても幼児の知能しか持たないパン屋の店員チャーリー・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞い込む。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。チャーリーはこの申し出に乗り、ねずみのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。やがて手術によって超天才へと変貌したが…

だいたいのあらすじはこうである。

チャーリーが手術によって天才へと変貌していく過程は彼によって書かれた経過報告により明らかにされる。最初は、ひながらだらけの稚拙な文章がやがて難しい漢字が多用された聡明な文章へと変化していく過程がチャーリーの変化をそのまま表すというにくい仕掛けがしてある。頭がよくなるにつれて自分が皆にバカにされていたことや親からが虐待を受けていた過去などをありありと思い出してしまう。それが彼にとって、この世界に対する大きな失望と喪失をもたらす。『ぼくのまわりはみんないい人ばっかりです。』友達がいっぱいだったチャーリーが、『なぜ周りの人間はこんなに愚かなのだろう。』と語る自己中心的で排他的な人間へと変わっていく。

知識や知能が人と人が意志疎通を図ることに邪魔になってしまうことがあまりに多い。知識を求める心が愛情を排してしまうこともある。という意味のことをチャーリーは語るが、いつの時代でも必要な知見であることは間違いがない。

たがいの腕の中にいて、与え、受け入れることがいかに必要かということがよくわかった。子供は子宮から、友達は友達から、互いに離れていき、それぞれの道を通って孤独な死のゴールに向かって赴く。だが、これはそれを押しとどめる釣り合いのおもりだ。(459頁)
人と人が愛し合うことの意味をそう考察する彼の言葉は特に印象に残る。

自ら実験の有用性を否定する結論にたどりついた彼は、自分の先がもう長くないことを知る。人為的に急速に身に付けた知識はそれと比例する速度で失われる。

アルジャーノンはやがて死ぬ。彼の日記は昔に戻っていく。いや、かつての知能に戻ることすらもうできない。ほとんど廃人になるほか道はないのだ。

最後の結論は、ぜひ本書をよんで確かめてもらいたい。おすすめの小説は何?そう聞かれたら『アルジャーノンに花束を』と答えたいと思う。























スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

はし

Author:はし
さいたま在住の22歳、男です。
本の感想や気になる社会テーマについて、書きます。
気軽にコメントしてください(^^)
写真は、江口寿史の作品です。こういうコにあこがれちゃいます笑

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2プロフ
こびとさんの時計
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR